衛星画像と関連指標の可視化




東京情報大学 松下孝太郎



はじめに



本研究に関し,可視化は処理結果の確認や研究成果公開の観点から欠くことのできない技術と言える。可視化に際してはCG(Computer Graphics)の技術を用いることが一般的である。CGによる可視化は,近年における計算機の高機能化・高性能化に伴い,従来は専用の計算機を使用して行っていた処理も標準的なPCにおいて実現できるようになった。

可視化対象と可視化ツール


本研究における可視化対象は次の2つに分類される。


   ・衛星画像

   ・関連指標


衛星画像に関しては,衛星画像そのものの表示とその処理を対象としている。関連指標に関しては,気候,水質,経済指標などが挙げられ,画像とは違い目に見えず,直感的にとらえることが難しいものを対象としている。   なお,可視化ツールは次の2つを用いる。

   ・OpenGL

   ・POV-Ray


OpenGL(Open Graphics Library)[1]はSilicon Graphics社 が中心となって開発したグラフィックスライブラリである。オープンソース,フリーソフトウェアであり導入が容易であり,様々な研究に利用されている[2],[3]。POV-Ray (Persistence of Vision Raytracer) [4]はモデリングからレンダリングまでを行うレイトレーサーであり,ソースコードはC言語にとても類似している。オープンソース,フリーソフトウェアであり導入が容易であり,様々な研究に利用されている[5],[6]。POV-Rayの統合開発環境の一例を下記に示す。







OpenGLによる可視化





  本研究において,OpenGLは主に衛星画像の表示や領域抽出に用いる。OpenGLは元の情報(画像)の処理や他の情報との融合的な処理に際しその利便性を発揮する。ここでは一例として衛星画像と人工画像からの領域抽出の例を示す






POV-Rayによる可視化



  本研究において,POV-Rayは主に関連指標の3次元的な可視化に用いる。各指標を可視化することにより,研究内容の一層の理解が促進されることが期待できる。なお,POV-Rayによる可視化は各研究の成果を見てから適宜行うことになるので,各研究の後半段階で用いることを予定している。ここでは一例として2次元の世界地図を3次元の球体にマッピング処理を行った例を示す。



おわりに


 
可視化技術は研究結果の理解と公開の観点から必要不可欠な技術である。今後は,ここで述べた技術を用いて研究を推進していく。さらに,ホームページを介した学外への本研究の広報活動も併せて行っていく予定である。

参考文献



[1] http://www.opengl.org/
[2] K.Matsushita,S.Kagei,T.Gotoh,T.Iwasawa :“Lung Region Segmentation From MR Image Sequence Using Active Contour Referring to Multiple Models”,Proceedings of the 7th Korea-Japan Joint Workshop on Computer Vision,pp.124-127 (2001)
[3] K.Mouri, M.Suzuki, T.Yasuda, S.Yokoi:“Production and Practical Use of Teaching Materials based on 3-dimensional Computer-graphics Technology with Collaboration in Education of Astronomy”, The journal of Information and Systems in Education , vol.1, no.1, pp.3513-3516 (2002)
[4] http://www.povray.org/
[5] K.Matsushita,H.Nishida,S.Furuya,K.J.Mackin,H.Suzuki,E.Nunohiro :“Development of Teaching Materials using 3-Dimensional Computer Graphics Animation in Elementary Education”,Proceedings of the 19th International Conference on Society for Information Technology and Teacher Education,pp.3489-3493 (2008)
[6] R.Tachizawa,K.Horikoshi,K.Matsushita,H.Suzuki,K.J.Mackin,E.Nunohiro :“Development of Teaching Materials Using 3D Computer Graphics in National Language Classes”,Proceedings of the 19th World Conference on Educational Multimedia, Hypermedia & Telecommunications,pp.3920-3925 (2009)