22年度の活動を振り返って


東京情報大学総合情報学部 山崎 和子 櫻井 尚子 吉澤 康介 藤原 丈史 鄭澤宇

(1)2010年6月にイタリアのシエナで行われた、Ecological Footprint Form

吉澤が以下のような発表を行った。初めて、内外のこの分野の研究者と意見交換や交流を持つことができた。 Ecological Footprint(EF)は、環境負荷を表す指標の1つであるが、消費された産物を生産するためにどれだけの資源やエネルギー が必要であるかを土地面積に換算し、その値を消費された地域に帰属させたものである。日本の47都道府県産業連関表を用いて、 各県各産業の産物を原材料として各県各産業の生産物が生産される関係をEFが移転をすると捉え、その移転をネットワークで表した。 そのような構造の理解を深めるために、ネットワークをグラフで表した。

(2)2010年9月、統計数理研究所で開かれた、経済物理研究会

山崎が発表を行い、まだ試験的な分析であったが、今夏の猛暑の影響に高い関心を得ることができた。 今年の猛暑は記録的であったが、その猛暑の経済効果および環境への影響を、47都道府県産業連関表によって分析した。猛暑によって 、産業部門のうち電力部門は消費が増えガス・熱供給部門は消費が抑えられることを家計調査から導き出し、その影響を分析した。

(3)2010年10月環境システム研究論文発表会

藤原先生が産業連関分析で使われているスカイラインチャートを用いて、EFの視覚的な表現を行うという研究の発表を行った。 持続的な発展においては現状把握や政策目標としての指標が必要といえる.その指標のひとつに人間の消費活動を面積に換算する エコロジカル・フットプリント(EF)がある.本研究では産業連関表を用いて日本のEFを算出し、一般的なEFの利点のひとつである 解りやすさをさらに視覚的に特徴づけることを目標に、産業連関分析で用いられるスカイラインチャートを応用したEFスカイラインチャートを作成した. また地域ごとではなくひとつの産業から地域ごとの特徴が比較できる展開も行い各産業、各都道府県の特徴を分析した.  

(4)2011年1月慶北大学セミナー

山崎が気象ネットワークによってエルニーニョ現象を捉えるという研究の発表を行った。 大気温度の時系列より位相同期によるネットワークを作り、その変化を調べた。エルニーニョ現象の発生源は太平洋赤道上にあり 、他の地球上広範囲な場所においては、平均気温に影響は見られない。しかし、ネットワークにおいて、その影響を捕らえること ができることがわかった。これは、エルニーニョ発生の敏感な指標となりうる。

(6)2011年1月 AROB  2011

山崎がEFによる猛暑の経済効果、環境への影響の分析の発表を行った。 産業連関表を用いて、経済現象とその環境への影響(CO2排出量)を並行して調べた。猛暑、冷夏の影響を7月の電力使用量とガ ス使用量を通して眺めると電気もガスも他の県や産業への波及効果は小さいことが解った。電気使用量は、原発の存在する県へ 効果が波及する。ガスは電気に比べ、CO2吸収地を大きくしない。猛暑はCO2排出量を通して環境への悪影響が大きい 鄭が地震波観測網によって観測される表面派の相関より作られるネットワークについて研究し、発表を行った。地震がない時の 波であるコーダ波は、異なる地点の波の間でわずかな相関を持っている。その相関を抽出し、2地点間の地質の情報を引き出す 方法は地震波干渉法呼ばれ研究が進んでいる。その相関を利用して作ったネットワークの研究を発表した。
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